川本 寛之 | native.合同会社 / CEO 【余命10年】「和製ガンジーとして1人でも多くの辛い、悲しい、苦しいと思っていらっしゃる方をエンパワーメントしたい」

現在の仕事内容について

いまはnative. というスタートアップを経営していてインドと日本で展開していこうと考えてます。
基本はインドがメインで現地の20-30代の若者向けに、「native.card」という統計占いx IKIGAI概念をベースとしたポケモンカードの人間版をベースとした真剣交際マッチングアプリを作っています。
native.cardの発行はこちら(生年月日入力後に、数秒で発行されます)

インドでは、結婚するときの特徴として、約95%のカップルが占い師を通して結婚するんです。
カップルが一緒に占いに行くんです。簡易的なWebサービスもあるんですが。
その人の36のパラメーターをベースに相性を「Good」「So So」「Bad」の三つぐらいに分類します。

そういう占いが婚活プロセスで自然に入ってくるのがインドの特徴なんです。

その特徴と僕がたまたま趣味で占いをもう10年ぐらいで700人ぐらい日本でみてたっていう経験がありまして。

– そうなんですね!どんな占いを?

生年月日をベースにした統計学の部類に入るタイプのものですね。

インドの主流のマッチングアプリは割と西洋のものなんですね。TinderとかBumbleとか。

他方で、占いであったりヨガや瞑想などの精神的なものを重視するインドの国民性を考えると、もっと内面や価値観にフォーカスを当てたサービスが1個あってもいいよね。 っていう発想です。

– Tinderとかってインドでは流行ってないんですか?

ダウンロードは億単位されてます。でもその後、過疎化してしまってますね。
ユーザーの8割が男性みたいな。
背景にはインドという国はまだまだ女性の社会進出が遅れている。っていう部分があって女性に寄り添いきれておらず、ルッキズムが激しかったり詐欺まがいな事があったり。
フック・アップという軽い目的でワンナイト、みたいな男性が大量にいるので 女性からすると心地が良くないというか。

– そうなると真剣交際のアプリがニーズ生まれそうですね。

そうですね、マッチングアプリは大きく分けるとカジュアルかシリアスの2つに分かれます。

カジュアルはいま言ったような状況でシリアスに関しては現地ならではのカーストなどを踏襲した婚活アプリというのは存在しています。

「Shaadi.com」とか「BharatMatrimony」とか。
まさに結婚を直で想起するようなワードのアプリですね。

ここにはユーザーがキチンとついていて、マネタイズ もしっかりできてはいます。

面白いのはインドではファミリーを巻き込んで結婚していくという風習が強いんですね。なのでいま挙げたようなアプリを立ち上げると、まず最初に「あなたは結婚相手を探している本人ですか?親ですか?」って聞かれるんですよ。

– 親が子供の結婚相手を探すって事ですか?

そういう事です。アプリでそう聞かれるくらいファミリーが結婚に干渉する文化があるんです。

ただ、最近の子はやっぱり自分で相手を見つけたい、自由恋愛したいって思う子も増えてきているんです。
netflixとかで自由に恋愛するバラエティとかも若い子達は見ますし。

– なるほど、そこに刺さるようなアプリがnative. という事なんですね。

そういう事です。アプリは今、絶賛開発中なんですが native cardという機能はすでに公開していて日本の方でも利用できる状態になっています。

これは生年月日を入力して3秒後にその人の特性や特徴を分析したカードが発行されるサービスです。

– 日本ではどんな展開を考えているのでしょうか?

ほぼマーケティングしていないんですが既に1万5000人ぐらいユーザーがいるんです。なので多少のマーケとかインフルエンサーを絡めるとかすればもう一桁増やして10万人ぐらいのユーザーの獲得は全然見込めるとは思っています。

– どのようなユースケースを考えていますか?

例えば岡村さんの場合、経営者なので人材採用の時に使うとか、最適なチームビルディングの為に使うとか。他にも営業の時にお客さんのnative.cardを発行してどう接したらよいか参考にしたり、プライベートな飲み会なんかでも使えると思っています。

– すでに実際に使ってもらったりもしているんでしょうか?

そうですね、人材、保険、不動産系のセールスの方に、使い倒していただきながら、使用感をヒアリングし、協働で最適化されたnative.cardのフォーマットを構築しているフェーズです。
また、広島県が主催するユニコーン10というプログラムがあるのですが、そちらに採択いただきまして、これから、地元広島の人材、不動産企業、保険会社、お好み焼き屋等に使い倒していただく予定です。

– お好み焼き屋さんだとどうやって使うんですか?

例えば店にインバウンドの観光客もいらっしゃるのですが、やはり言語の壁で会話ができないわけです。native cardは、インドのアプリのコア機能のひとつであるため、英語でも発行でき、日本語版と同様のデザインフォーマットであるため、お互い見比べながら、コミュニケーションの媒介として使ってもらうというユースケースです。

– なるほど、基本的にコミュニケーションが発生するところに使えそうですね

そうですね、営業も結局コミュニケーションなので。toB用のnative.cardだとコミュニケーションの基本特性や金銭感覚、回避したいと考えているリスクなども分かるんです。

なので保険の営業で「金銭感覚:金融商品に楽観的な側面がある」とあればそれに沿った商品をオススメする、という感じです。

営業に使えるとなると市場が広いんですよね。
保険営業は110万人とかいますし、全国の転職エージェントの数は、約24,000いらっしゃるので。

native.cardを営業支援ツールとかコミュニケーション支援ツールとして捉えてもらって業務オペレーションに組み込んでもらうことで月額〇〇円とかは全然見込めると思っていて、それを売上の下敷きにしたいと思っています。

そうやって得た収益をインドの広告費、エンジニア費用に投下して何度でもバッターボックスに立てる土台を作ろうとしている状態です。

キャリアサマリー

  • D2Cコスメのマーケター → 暗黒期→ JAC Recruitment India → ネオキャリア → OYO → グローバルブレイン → native.

キャリアのスタートはD2Cコスメのマーケターです。
3年間、渋谷でF1層(20〜34歳の女性)に向けたマーケティングをやっていました。
その会社はベンチャー気質が強かったので、新規事業に数百万とか予算がついたんですね。そういうの間近で見てるうちに自分でやってみたいなと思うようになって。

– それで起業するんですか?

いや、その時は個人事業主で色々やろうとしたんですが上手くいかなくて1年半くらいの暗黒時代に入ります。笑 色々あって本気で自殺しようと思った時もあって・・・

詳しくはこちら

– ・・・そこまで辛い時期があったのですね・・・

はい、タクシードライバーになる流れもあったんですが自分の中で何か違うな、と思い、バックパッカーになったんですね。持ってる物を全部売ったら50万円になって。笑 それを握りしめて東南アジアに。

帰国したタイミングで、振り返った際に、東南アジアの若者達の活力が印象深く、「海外での挑戦ってできないのかな」となりまして。

– それで海外就職を目指すんですか?

そうですね、Googleで「海外就職」って検索し、海外転職の支援機関と面談したんですけど「3点ほど難点があるね」と言われまして。

一つは「英語できない」、もう一つは「営業やった事ない」、最後は「暗黒時代の1年半のブランク」。

という事であなたの希望するシンガポールやマレーシアは厳しいと思うよって言われまして、「ただ1ヶ国だけ懐の深い国がある」って言われ、紹介されたのがインドだったんです。

– おお、それでインドで就職できたんですね

はい、JAC Recruitment という一部上場してる企業の社長と話させてもらって。
立ち上げ期で人を探してるから「うち来る?」って言ってもらって。

「いいんですか?!」って。笑

– ではそのタイミングで移住するんですか?

そうです。2015年8月に移住して1年半くらいそこで採用エージェントとして、働きました。

あとは、マーケティングの経験も活かして、求職者を集めるオウンドメディアも作りましたね。当時まだインドの情報が日本に今より全然届いていなくて。怖い!危険!というイメージがあったりで。

その辺を繋ぐ架け橋のようなメディアを作り、20代の日本人女性を中心に、インドで転職してもらう事ができました。

そうやって結果を出していって社内のMVPを獲らせてもらったりしてある程度、社長にも恩返しできたのかなって思ったんです。

そのタイミングで日本の企業のネオキャリアという人材系の会社の社長さんとお会いする機会があって「 20代で、海外子会社の社長をやってみませんか?」という話を頂きまして。

それを快諾して、当初香港のお話しもあったのですが、社内リソースで充足できたみたいでどこを立ち上げるかとなった時、まだ拠点がなかった場所が、インドだったんですね。

それでインドに戻ったんですが本当にゼロからオフィスもない状態から立ち上げをスタートしました。

3年で黒字化してほしいって社長からのリクエストだったんですけど、初年度で黒字化できまして。

– めちゃくちゃ凄いですね!それで結果を残してそこは去ったのでしょうか?

僕の中で転職する時のマイルールみたいのが1個あって。山口百恵みたいな感じって言ってるんですけど

– 最高点にきたら(転職する)って事ですか?

そうそう、そういう事です。笑

辞めなければ、様々なオプションを提示していただけるお話もありましたが、自分の中で恩返しできたかなと思えたのと、ちょうど一人目の子供が生まれるタイミングでもあったので日本に帰国するには良いタイミングだなと思いまして。

で、2018年の夏に帰国してからは社長直下で新しい事業を立ち上げてました。

– それはどんな事業だったんですか?

HR系の事業で台湾やベトナムなどの外国人エンジニア、デザイナー等を日本企業に就職斡旋するという事業です。

3ヶ月で垂直立ち上げしてくれるって言われて。笑

– 売上目標などもあったんですか?

ありましたよ。3ヶ月で数千万。

紆余曲折ありましたが、ギリギリでクリアしました。笑

– すごいですね!

その時期、日本の大手IT企業が海外リソースを欲していたという部分と重なったのでそこを攻めましたね。

– ネオキャリアではまた別のことをやられるんですか?

いえ、その後にネオキャリアを出ました。

起業という選択肢を視野に入れていたのですが、OYOっていうインドでデカコーンとなったホテル、不動産系のスタートアップが、日本に進出したいらしく事業担当者を探しているという事で、インド拠点を引き継いだチームメンバーから連絡をいただいたんです。

で、5つの条件があると。

① 30歳前後 
② 0 -> 1 の経験がある
③ 英語ができる
④ 人事・採用の経験がある
⑤ インドに詳しい

全部満たしてるじゃん、ってなって。レジュメを送ったら銀座で会おう、となりまして。

行ったらもうハーバード卒でamazonのインドの立ち上げやってましたみたいなちょっとレベルが違う優秀な人たちで。

凄まじい熱量でビジョンを熱弁してきて、僕にもエレベーターピッチをしろと。

それで頑張って話したら「明日、6pmに紀尾井町に来てくれ」と言われましてYahooとOYOのジョイントベンチャーに関わる事になりました。

– yahooだとホテルや不動産という共通点ありますよね

そういう事です。で、とりあえず1年間で200人採用しろって言われて。笑

無茶言うなぁと思いながらで3ヶ月で70人ぐらい頑張って採用して。

資本金数十億後半とかあって、孫さんからするとpaypayの第2弾という位置付けだったんですね。

– なるほど、予算は潤沢にあったのですね

はい、それと同時にBizDevもやりましたね。

BizDevチームのプロダクトマネジメントだったり、他拠点のグロースも担当していました。

大体、1年2か月ぐらいですかね。でもめちゃくちゃ濃度が濃かったですね、入った時は5人でやめる時500人になっていたんで。

– そこからはどうされるんですか?

次にグローバルブレインというVCにジョインしました。

業務としては2つあって、「インドのスタートアップ投資のチームを立ち上げ」ともう一つは「コーポレート・ベンチャーキャピタルで大企業のファンド立ち上げ」です。

– 期間としてはどれくらいだったんですか?

丸2年ですね。その間にファンドを立ち上げたりで良いペースで投資できるようになりました。

もともとはインドに駐在する予定だったんですけれど、コロナの期間で行けなくなっちゃって。

それで、そのタイミングで余命宣告とも受け取れる通告を主治医から受けるんですね。

– 余命10年というこちらのnoteにも書かれている・・・

はい、もともと腎臓の難病を持ってるんで医者に診てもらったら「入院してください」って言われて。

入院中に飲んでいた薬が激薬で、1日7リッターぐらい水を飲んでトイレは20回行くみたいな状況でして。

– 相当キツそうですね。。。

なかなか苦行ですね。入院中に先生に「あとどのぐらい生きられそうですか?」って話ししたら「10年は大丈夫だと思う」というような事を言われて。

という事は11年目はないかもしれないって事じゃないですか。

自分の人生が残り3650日だとなると、どういう生き方がいいのかなってすごい考えました。

当時1歳と0歳の子供がいて、この子たちに何を残したら喜ばれるだろう?かつ自分もハッピーな事は何だろう?と思った時に2つのシナリオがありました。

シナリオAはVCで働き続けて数千万円の資産を残すというシナリオ。

シナリオBはリスク取ってインド行って起業する。失敗する確率は極めて高いかもしれないけれども、彼らに挑戦する勇姿を見せるっていうシナリオ。

どっちが棺桶入る時、後悔しないだろう?と思ったら時、僕の中でシナリオBだったんです。

– そんなバックグラウンドがあったんですね・・・奥さんもすんなり受け入れてくれたんですか?

そうですね、むしろ妻は起業家の先輩なんですよ。笑

インドxファッションの分野で僕より前に起業していて。なのでそこはすんなりと受け入れて応援してもらう事ができました。

ご自身の強み

一般的に強みというとマインドとスキルの2種類があると思うんですが僕自身はマインドの方が強いと思ってます。

具体的には「死生観」と「解釈力」の2つですね。

– 「死生観」についてはやはり余命が関係していますか?

そうですね、いつ死ぬかもしれない、今日が最後かもしれない。という思いが常にあるから「ここで諦めず頑張ってみよう」とか「先延ばししないでやろう」ってなりますね。すぐ行動に移すのもこれですね。

せっかくこの世に生まれたんだから、この広い世界200カ国以上ある国々を知り尽くして死にたいんです。

周囲からは、バイタリティがあると言っていただけるのですが、行動力の源はこの思いだと思います。

– もう一個の「解釈力」については如何でしょうか?

インドにいる事もそうだし、余命の事もそうだし、仕事でも色々とトラブルを経験しているので、有事の時に目の前の事象をプラスの方向に意味付けする癖ができてるんですね。

めちゃくちゃ悪い状況でも「この角度から見れるんじゃない?」っていう。

余命10年って宣告されたら鬱病になる人だっているわけですが、僕は「このタイミングでこういう風にギフトをもらったのは、”お前はすごい怠け者で黙ってたらすぐに騙されるようなどうしようもないヤツだよ。だから、こういうギフトを与えないとお前って本当に真剣に生きようと思わないだろ?”っていうこと言われたんだな」 と解釈したんですね。

– 素晴らしい解釈ですね・・・

こういう解釈力は仕事でも役に立つと思いますね。炎上プロジェクトとか。笑

今後の目標や夢

そうですね。平たく言うと世界平和かもしれません。

ウクライナとかのロシアの戦争とか見てて思いますけれども、人間同士の対立ってどの時代もあるし、今後もなくならないと思うんですね。

もっと目の前の人に優しく、感謝を持って、謙虚に向き合う。一歩寄り添うってことができたら、ちょっとでもこの世の中の争い事が無くなっていくんじゃないかと思ってるんですね。

職場でも恋愛関係でも家庭でも。離婚する理由とかも価値観の不一致とかお互い歩み寄れなくて、自分の価値観を押し付けてしまったり。

だから私たちはnative.cardというコミュニケーション・インフラを作って、目の前の人の理解を促進するツールとして価値を提供していきたい。

この人はこういう特徴があるから、こういう風な言葉はNGだよね、こういう言葉をかけると心地いいよね。っていう風になれたら。

少しでも優しくて滑らかな社会創造の一助になるのかなと思っていて。

native.cardは生年月日が発行できるから誰でも発行できるし、英語バージョンもあるので。

目の前の人にちょっとでも優しくぬくもりのあるコミュニケーションを創造することで、世界が少しでも平和になっていけばいいな、と思っています。

僕らの会社が登記している広島は平和都市ですし。

広島発のスタートアップとして世界の人々の人間関係をより心地良いものにできたらいいなと思ってます。

繋がりたい人や企業

ざっと2つですね。1つ目はインドを絡めて何かやりたい人や企業さん。2つ目はnative.cardに興味がある方。

1つ目についてはインドは今年、世界人口1位になり、今後、経済大国として立国していくことは間違いない。

何かやりたいけど、何やったら良いか分からないという大企業、中小企業、スタートアップのみなさま、コンタクト頂けたら何かしらサポートさせて頂けるかもしれません。今も数社、お声がけ頂いているんですが、まだまだ需要はあるのかなと思っています。

– 必要にしてくれる人がいればサポートしたいという事ですね

はい、僕のパーソナルミッションが「和製ガンジーとして1人でも多くの辛い、悲しい、苦しいと思っていらっしゃる方をエンパワーメントしたい」という想いを持ってるんで。

それに沿うような生き方として、皆さんが少しでもこのインドというマーケットに光を当てて下さるのであれば、そこに対して心血注ぎたいと思っています。

2つ目は少し利己的かもしれませんが、やはりコミュニケーション・インフラとしてnative.cardに興味を持って下さる方や企業様です。

例えば、AI、Chat GPTが台頭、進化することにより、余暇時間が増え、思考プロセスがネガティブサイドに振れやすい人はメンタル的に落ち込んでいく方は増えていくと思うんですね。
そういう方々にも、native.cardを通じ、自己理解を深め、今後の生きる指針を見つけていただくツールとして活用いただければとも考えており、健康経営、社内コミュニケーションツールにご関心がある企業、組織、団体がいらっしゃれば是非native.cardの活用をご検討いただけると嬉しいです。

最後に一言

IT軸で言うなら、間違いなく今後インドのエンジニアと協業していく機会は増えると思います。メルカリ、ラクスル、マネーフォワードのような日本を代表するベンチャーの方々もインドに直近でインドに拠点を構えております。

だから善は急げで今この瞬間から是非インドという市場に注目して好奇心を持って覗いてみて頂けると嬉しいですね。

インドは僕のような人間すらも受け入れてくれる国。インドはいつでもウェルカムです。

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【前編】余命10年の男が挑む。インドで占いマッチングアプリを展開したい【川本 寛之】[428人目]令和の虎

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native.card発行リンク(生年月日入力後、数秒後に発行)
http://bit.ly/3IIYZJc