新居田 晃史 | JBアドバンスト・テクノロジー エンジニア「子供達、次世代の人達にもっともっとITでチャレンジできる環境を整えたい」

現在の仕事内容と特徴について教えて下さい

JBアドバンスト・テクノロジーというハードウェアやソフトウェアを扱う会社で働いています。JBグループはホールディングス制になっていてグループの中で唯一のメーカー部門っていう感じです。
で、僕はそこで何をしているかというと、JBグループの次の事業を探す為の研究開発をやっています。

– なるほど、R&Dという位置付けでしょうか?

そうですね。身近な課題を世の中にある技術を使って解決するという事をやって、汎用的に使えそうなものがあれば製品化していくという流れです。

– これまでに製品化されたものもあるのでしょうか?

ありますよ。Qanat Universeというサービスなんかそうですね。
「何でも繋ぐ」というコンセプトのサービスで APIだったりIoTだったり、APIがないようなシステムも含めて全部を繋いでいく、というサービスです。

– すごいですね、元々は社内で使う用につくって後に製品化したという事ですか?

そうですね、最初のユーザーは本当に僕と上司くらいだったんですけど、その技術を使えば社内の色々な相談事に対応できるぞっていう事がだんだんわかっていって。
IoTとかが流行った時にデータ連携の仕組みもデータ転送の部分をちょっと改良すればいけるよね、みたいな感じで少しずつ機能が充実していって。

– ユーザーもSATORIさんのような勢いのあるスタートアップから、大塚商会さんなど大企業までズラリですね。

そうですね、でも一番有名なのは株式会社オービックビジネスコンサルタント様の「奉行クラウド」関係に導入されていることですね。

当時はAPIがあっても連携するのも簡単じゃなかった時代で、一般的なSIerさんに頼んだら800万とかかかりそうな案件を手軽に繋げるサービスをリリースすることで世の中の役に立てるんじゃないかと考えました。

– いつ頃リリースされたんですか?

リリースは2017年ですね。開発研究は2012年からです。

– まだAPIも流行り始めたくらいの頃ですよね

たしかREST APIが使われ始めた頃だったと思います。

元々は僕が作ってたんですけど今は少しポジションが変わっていて、基盤の改良やSRE的な部分で関わっています。

– となると他にメインにしている業務があるのでしょうか?

メインは研究開発なので、常に最新のテクノロジーだったりトピックをリサーチしたり、「今後クラウドはどうなっていくのか?」とかを経営層に説明したりしています。

– グループ全体で2000人ぐらいの経営層に説明するんですね・・・!

そうですね、 一応AWSで困ったら最後は僕のところに来る感じになってます。

グループ社内の偉い人から突然メールで質問や依頼がきたりもしますね。笑

テック系のイベント運営や登壇

– AWS関連のイベントを良く主催されていると思います

そうですね、AWSのユーザーグループ(JAWS-UG)の横浜支部に属していて運営という立場でイベントを開催しています。

– イベントの内容としてはAWSのサービス全体を扱うのでしょうか?

全体ですね。新しいサービスがリリースされたらリサーチして「何に使えるのか?」「どこが便利なのか?」などをみんなで共有しています。

– いつぐらいから活動されているんですか?

2016年からだと思います。AWS re:Invent という大きなイベントに参加したのがキッカケでそのイベントが終わった次の月曜日に「宇宙一早いre:Cap」というキャッチアップイベントが毎年ありまして、そこに行ったら熱量が凄くて、もう勢いのままに「じゃあ僕も運営やります!」って手をあげました。

– いいですね!運営チームはだいたい何人ぐらいなのでしょうか?

メインは4〜5人ですね。誰かが提案したらみんなでサポートして企画が進んでいく感じです。

– 結構な高頻度でイベントを開催されていますよね

時期によって変わりますが、平均すると月1くらいかなと。

AWSのメインイベントが終わったあとは8週連続でキャッチアップ・イベントをやったりします。笑

– すごいですね。笑 でもジャンル毎に区切るとキャッチアップする事もたくさんありそうですもんね。

はい、(AWSの)新しいサービスが出てもすぐには何が嬉しいか分からなかったりするので、それをツマミに喋ってる感じです。笑

– ものすごく有益な飲み会ですよね。笑
ChatGPTのイベントも開催していたと思いますがこれはまた別枠ですか?

あれは完全に別ですね。「ChatGPT meetup」っていう名前でやっているんですが生成系AI 全般扱う形でやっています。

一緒にやっている人がめちゃくちゃ強い人でどんどん進めてくれるので、僕はもうついて行くだけみたいな。笑

– こういったミートアップやイベント運営はかなり大変だとは思うんですが、何がモチベーションになっていますか?

やっぱり、やることによって自分にめちゃくちゃメリットがあると感じています。

一つはキャリア面ですね。会社以外のところで人脈が広がったり、会社にもこういった活動を評価してもらえているので、すごく仕事がやりやすくなったり、頼られる存在になったり。

あと、僕は会社の目標設定に「社外で〇〇回登壇する」と入れているからか、やればやるほど社内の評価に繋がってるようにも感じます。

– 会社からすると(外部との交流は)人材流出のリスクもあるとは思いますがオープンな良い会社ですね。モチベーションが2つ目については・・・

もう一つはやっぱり、技術キャッチアップがしやすいっていうところですね。

僕は一人で勉強してても、あんまり効率良くキャッチアップできないタイプなので。

いろんな人のユースケースを見たり喋ったりするのが理解を深めるのにとても効果的です。

– なるほど。あと登壇するとなると自分でもリサーチするので詳しくなりますよね

そうですね、間違ったこと言えないのでリサーチして自然と知識がつくというのはあります。

あと自分の体験をスライドに落とすとかはまだいいんですが、(AWSの)新サービスについての発表とかだとスタート時点では「何がすごいのか?」「どう役立つのか?」が見えていない事も多いので、着地点を探りながら資料をつくるので大変ですね。

でも悩みながら資料を作成して登壇すると、やっぱり良い事がありますね。

より詳しい人が助言してくれたり、フィードバックをくれた方と仲良くなるパターンも結構多いので。そういうのは凄く良いなと思ってます。

ITエンジニア日本最速ランナー

– 新居田さんは「ITエンジニア日本最速ランナー」と呼ばれていると思いますが、これはいつ頃からですか?

これはBCNというメディアに取材してもらった時に編集長の方が調べて下さって。

– なるほど!こちらの記事ですね。2015年の。


・・・実はいま僕、1位じゃないんですよ。 もっと速い子がいまして。

– 新居田さんがフルマラソンで自己ベスト2時間29分56秒(!)という事ですが、それより速い方が・・・

去年くらいに知り合ったんですが、そうなんです。

ただ、実は僕の存在があったから、その子ももっと速くなったみたいな話がありまして。

– おお!知らぬ間に目標にされていたという

そうなんですよ。もう今は全然勝てないぐらい速くなってて。

でもやっぱり嬉しいですよね。そういう風に思ってもらえるのが。

人に目標にされるなんて、なかなか無いことなので。

これまでのキャリアのサマリー

– はじめの就職はどちらになるんですか?

それが今の会社(JBアドバンスト・テクノロジー)になります。

最初はインフラエンジニアとして入りました。

もともとはネットワークやりたいって言って入ったんですけど、所属した部門は基幹システムというかなり重厚なハードウェアを扱うインフラ部門で。

– 当時はまだオンプレでしたか?

全部オンプレですね。サーバー室の寒いところに入っていく的な。

届いたサーバーをダンボールから開けるところから始まってガンガン ラックに詰めていくという。筋トレしながら仕事してるみたいな。笑

– 笑。それで何年ぐらいインフラにいたんですか?

5年ぐらいですね。異動先が今いる研究開発なんです。

– どういったキッカケで異動になったんですか?

当時、社内で「インフラエンジニアもお客さんに提案できるようになろう」っていう風潮があって、僕はオープンソースをビジネスに利用するという観点でお客さんに提案していたんです。

具体的にはSugarCRMというセールスフォースのようなオープンソースがあって、それを基幹システムに入れて顧客管理や営業管理をしませんか?という内容でした。

そういった仕事内容が目に止まったようで、声が掛かったという感じです。

FA(フリーエージェント)制度があるので最終的に異動するかは自分で判断できる状況だったのですが、「基幹システムの仕事はいつまであるんだろう・・・もっとモダンな技術に触れたい」という気持ちが強かったので異動する事にしました。

ちょうど転職活動も色々やっていたんですが研究開発の方に異動できるならそれで良いなと思いました。

– 異動後は希望通りモダンな技術を扱えたのでしょうか?

そうですね。当時AS400というIBMの基幹システムを使っていたのですが異動して最初に触ったのがHadoopという分散処理システムでした。

– 当時の最新技術ですよね。

はい、Hadoopが出て多分1年経ってないぐらいの時だったと。

オライリーの分厚い本を買ってキャッチアップしました。

で、ちょうどその頃AWS等のクラウドサービスが出てきて、そっちも勉強して今に至るという感じです。

これまでで一番大きなキャリア・チェンジ

やっぱり現在の部署に移動したことが大きなキャリアチェンジでしたね。
インフラエンジニアの頃は「これ死にゆくテクノロジーなんじゃない?」っていう不安感があったので。

もともと僕は専門学校出身で、linuxやオープンソース技術に触れる機会が多かったのですが、入社後の最初の5年間は、そういった技術に触れる機会がほとんど無かったのでフラストレーションは溜まっていたと思います。

ただインフラエンジニア時代も悪い事ばかりではなくて、OS専業で5年間やっていたので何かトラブルがあった時、OSが悪いのかアプリが悪いのか迅速に切り分けができるし、インフラエンジニアとしての基盤をしっかりと築くことができたのは良かったですね。

その後アプリケーションの開発にも関わるようになって技術的な視野を広げることができたと思います。

あと今の部署では技術的な業務だけでなく色々と学ぶ事が多いですね。

一つはマーケティングや戦略面で、本当にこのプロダクトは世の中の役に立つのか?どういう人をどれぐらい助けられるのか? みたいなことを意識しないと技術に溺れて終わりになっちゃうので、そういう視点をすごく鍛えられましたね。

もう一つは聞かれたことに対して、まず結論から話すって話法をめちゃくちゃ鍛えられました。上司が「そうやって話さないと人間は理解できないぞ。お前がどんなにすごいこと考えてたって、伝えられなかったら意味がないからな」と言っていて。

自分自身の強み

やはり、クラウドのアーキテクトができることが一番の強みだと思います。

インフラ、OS、ネットワークの知識を持ちつつ、クラウドをどのように活用すれば良いかを考えることができる点が自分の一番の強みかなと思います。

– その点、全く異論はないのですが同時に新居田さんの高いコミュニケーション能力も強みに感じます。技術力あるエンジニアって話しづらい雰囲気があったりするケースも多いと思うので。そのあたりご自身では如何でしょうか?

性格の部分もあるかもしれませんが、一つ胸を張って言えるのは昔から人に恵まれて育ってきたという点です。
なので基本的に人に対してオープンでいられるんです。

実際、嫌な友達が一人もいなかったほどなので。

そういう事もあってか、コミュニティなどでも自然と馴染むことができるのかもしれませんね。

– たしかにそれは大切なポイントだと思います。

人と仲良くなりたくない人がコミュニティ運営をしても、たぶん辛いだけですよね(笑)

– そのような素晴らしい性格や考え方はどのように作られたと思いますか?

それはもう親や友達に感謝しています。

これから成し遂げたい事、夢や目標を教えて下さい

社会課題の解決にITを活用したい、という想いがここ数年で強くなっています。

特に自分の強みであるインフラ部分を活かして、なるべくコストをかけずに安全に運用できる基盤作りだったり、迅速に開発に取り組める体制を構築したいと考えています。

– この数年で、というのは何か特定の出来事があったのでしょうか?

3年くらい前に自社のビジョンを若手で作り直すプロジェクトがあって、僕は一応リーダーシップを取らせてもらって、ファシリテーションを行っていました。

その時に創業者の思いや先輩たちの取り組みについてインタビューして、最終的に「ITを簡単にする」というミッションを設定しました。

背景には、日本の企業に元気がなくてITを完全に上手く活用できていないよね、という認識があって次世代に良いIT環境を残したいという思いがあります。

ITって使いこなすほど便利になるし、自分の力を何倍にもしてくれるものだと思います。

子供達、次世代の人達にもっともっとITでチャレンジできる環境を整えたいと思ったんです。

これからIT業界でキャリアを形成していく方にアドバイス

あまり偉そうなことは言えませんが興味を持ったことは何でもやってみることをオススメします。

やってみて、面白かったり、自分に合っていると感じたら、それは取り組むべきことだと思います。

まずは自分で実際に試してみることが大切だと思います。

今後繋がっていきたい人や組織

そうですね、基本的にあれば自分から動いていくタイプなのであんまり無いのかもしれませんが、課題解決を目指している組織は面白いと感じていますね。

(いま週一でジョインしている)株式会社ORPHE もそうですが。

最後に一言

このような機会を頂きありがとうございました!

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